海の力、 東京という大自然の中に生きてみて。

高校生の時、田舎にいるのが息苦しかった。

周りの人に全部自分を見透かされているようで

自分を知らない新たな場所で、違った自分に

なりたかった。東京は居心地がよかった。

私を知っている人が誰もいなかったからだ。

新しい自分に少しは変わったのかどうか

わからないが、英語の勉強だけは頑張った。

大学院にいき研究者としての道を希望したが

要領が悪かった。頭ではなくコミュニケーション力

が大事だったが、最も苦手な分野だ。

あの東京のビルの中にいると緑の山も

海のうねりもないが、不思議と落ち着けた。

しかし、山に行ったり海に行くのは特別なことだった。

お金を出して山やら海に行っても、とにかく

人がどこにでもいた。でも私はその山や海は

偽物だと思っていた。田舎の山や海とは全然違う。

お金を出して遠くまで行ったのに、何か違うような

感じがして、また元の生活に戻ることになる。

13年間も東京にいたが、山や海が恋しくて

東京から田舎に帰ってきたのが17年前。

今、また病気が始まった。息苦しいのだ。田舎の生活が。

50歳を前にして言う言葉ではないが、あの17,8歳の

時の息苦しさと同じである。人はいないが

東京のビルの中に時々戻りたいと思う時がある。

そういう時は海に行く。誰もいない。海は近くにある。音に

落ち着くのだろうか。吸い込まれそうになる。

この海の力を感じることができるるのは贅沢なことだ。

車で10分も走れば海にも山にも行ける。でも

ビルの中に吸い込まれそうになる感じとはだいぶ

違っている。いや、同じか?

今度はお金を出して、人ごみの中に行くことになる。

どっちがいいのだろうか。

ここに住んでいる間は最大の贅沢を味わうことが

出来る。せいぜいその贅沢を忘れずに覚えておこうと思う。

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竹 慎一郎

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