Pococha 配信アプリサービス レビュー 寂しさの隠れ場

 

テレビがこの5年くらいでなくなるという話を良く耳にする。

昔はテレビの前で一家団らんを過ごすのは当たり前のことであったが、

この構図が、今や失いつつある。

テレビ番組を観ると、お笑い芸人が多数登場し、ユーチューブで話題になった番組を取り上げたり、ユーチューバーもテレビで見かけるようになった。もう、テレビ番組を作るネタが尽きたようだ。海外のテレビ番組を買い取ったりもはやテレビ独自の面白さは激減していると思う。勿論、質の高いドラマなどはあるにせよ、個人の嗜好はテレビ以外でも満たされるようになっている。何もテレビを観なくとも、それに代わるものがあればそちらに向かうのは当然であろう。

個人個人の楽しみ方が細分化され、一つのものに集約出来なくなっているためである。動画の配信サービス、音楽のアプリなど媒体は沢山あり自分が向いているサービスを選べばいいだけだ。

私は、あるアプリをDLしてみて毎日のように観るようになった。

いわゆる、ライバーと呼ばれる配信者がスマホのアプリに登場し、リスナーはコメントしライバーさんとのやり取りを楽しむというアプリである。大手企業が参画しており、リスナーのコメントがダイレクトでライバーさんに伝わり、コメントが直ぐに返ってくるのは驚きだった。ライバーさんも素人ではあるが、そこを踏み台にして有名なインフルエンサーになっていく人もいる位だ。ライバーさんにコインを投げると、リスナーもライバーもランクが上がっていく。自分の応援しているライバーさんは2人。2人とも関西人の若い女性であるが、こちらの顔をさらすことはないので、コメントするのも気楽に出来る。コインは無料コインと有料コインがあるのだが、課金してまでやろうとは今の所思っていないが、大枚はたいてコインを購入して応援しているリスナーも多いようである。

私がなぜその2人の女性に魅かれたのかは、美人だからという訳ではない。心配させられることがあるからだ。ライバーさんも病気になって明らかにいつもと表情が違うことがある。次の配信が病気のため中止になったり、あるいは人生に行き詰まり悩んでいたりする言葉を聞くと同情してしまうのだ。まさか、ポーズでやっているとは思えないが、人間らしさを感じてしまう。

コインを集める方法があり、別な多くのライバーさんの配信をみると、7分半でボックスが開き2回、つまり15分間の視聴で2つボックスがもらえる。観たくもない人の所に行ってコインを集めるのは本意ではないが、無料でコインを集めるため致し方ない。中には、無言で配信している人もいて、ボックス集めにはそんな人がいると非常に助かる。リスナーが集まってボックスが開封されるだけでも何か利益に通じるのかもしれない。しかし、そのボックスも近い将来なくなって別の形態になるときいた。恐らく無言配信は駆逐され、ログインした時にもらえるコインの他に、いいコメントをしたリスナーにコインが付与されると聞いたのだが、詳細の発表はこれからであろう。

昨日、ボックス集めに行った先に現れたのは、明らかにおかまさんだった。他のリスナーの人の会話をみると、眠剤のことやら薬のことやらが頻繁に登場し聞き入って自らコメントもしてしまった。そのおかまさんはサイレースをのんでいると言ったが、私は、サイレースは強い薬ですよ。普通は、睡眠導入剤のマイスリーか、ベルソムラかの後に飲むような薬ですよとコメントした。別なリスナーさんが飲んでいる薬は、私にとって良く知っている薬が多かったのであるが、明らかに飲み過ぎだと感じた。おかまのライバーさんは、完全いうつ病だね!と隠しもしないで言われたが、おかまさんの発言に嫌味は感じなかった。

シェイクスピアの劇に登場する、fool (ばか)は、王様に向かって本当のことを言える立派な職業である。人がおべっかを言って王様の機嫌を貰おうとしている所、その反対のことが出来るのがfoolである。おかまさんは、foolの身をまとった、wise fool だと直ぐにシェイクスピア劇のfool を思い出した。fool にwise が修飾するのは矛盾していない。fool は本当のバカではなれないからだ。

私に、あなたは、すごく薬に詳しいわね!と言われたが、そのおかまさんをフォローすることなく、コインだけ貰って退散した。

不思議なことであるが、同じ匂いの人が自然と集まってくる。同じような病気を抱えている人はテレビには登場することはないが、このような場所は一種の隠れ家、生きる上での逃げ道になっているのではないかと思う。

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竹 慎一郎

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