日本の国営放送NHKは何かと受信料の高さに批判が集まる。2020年10月から若干の値下げがあったのだが、衛星契約は月、2170円、地上契約は1225円となっている。年に換算してみると、割安になるので、衛星契約12か月前払いで24185円、地上契約は13650円となる。ちなみに、イギリスBBCは2018年の年間レートでの換算になるが、年、22168円。ドイツARD,ZDFは、年27073円、フランスFTVは17920円と日本とあまり変わらないことが分かる。気になる徴収率であるが、イギリスは93.4%、ドイツは95.9%、フランスは、90.73%、日本は、82.1%となっている。総務省のデータ000697727.pdf (soumu.go.jp)なので信頼できるかはともかくとして、日本だけが飛びぬけて高い訳ではないことが分かる。日本にはCMは入らないのでCMを入れて受信料を安くできないのかという議論は絶えないのであるが、世界を見渡してみるとCMが入って上記に書いた値段を取っている国もある。
個人的には、NHKはCMを入れて、月500円位にしてもらいたい。NHK職員の収入の多さも良く引き合いに出されるが、貰いすぎだと一般の国民からしてみればずれを感じてしまうのは最もだと思う。ここでは、NHKの受信料のことではなく、朝ドラのことを書いてみたい。
NHKと言えば、12月31日の大晦日にある「紅白歌合戦」だが、1年に1回しか見ないのになぜ受信料を払わなければならないのかと思っている人も多いと思うが、朝ドラに関しては、「エール」と「おちょやん」と毎日録画して観ている。そういえば、相撲もあるが最近は外国人力士ばかりで全く見ていない。
朝ドラは、朝8時から8時15分、再放送が、午後0時45分から1時までのたった15分のドラマであるが、その歴史は、1961年(昭和36年)に遡るので、何らかの番組は1度は見たことのある人も多いのではないだろうか。「ハイカラさん」(1982年、昭和57年)、「おしん」(1983年、昭和58年)など話題に上った作品も多いのであるが、私は、吉田拓郎の「元気です」がテーマソングの番組を観ていた記憶がある。番組名は忘れてしまったのであるが、良い内容だったと思う。第102作目の「エール」、そして今放送されている、第103作目の「おちょやん」を立て続けに観ていて思うことがあった。
昨日、民放のテレビ番組を観ていたが、コメンテーターに歌舞伎役者やお笑い芸人が出ていて、Youtuber のパフォーマンスにコメントをしていて非常に不愉快に感じた。歌舞伎役者が演じることもあり得ない。実力もないお笑い芸人が、Youtuber のことを褒めようがけなそうが一向に面白くない。芸人の魂はなくなってしまったように感じた。それが民営のテレビの実態である。クイズ番組の司会はお笑い芸人、解答者もお笑い芸人と学歴が高いクイズマニアで番組はいくつも同じような番組が作られているのが実態である。
もちろん、質の高いテレビ番組があるのも疑いないが、東野圭吾や池井戸潤の原作は、テレビではなく映画化されてしまうほどだ。「24時間」はアメリカの番組のリメイクであったがかなり面白かった。
それなら、1日15分、歌は飛ばすので14分のNHKの朝ドラの質は高いと思う。特に書かなければならないと感じたのは、戦争の体験である。「エール」も「おちょやん」も戦争での体験を隠すことなく番組化しているのには評価してもいいのではないだろうか。原爆が落とされ、終戦日だけしか民法は戦争をとり上げない。こともあろうに、日本の国営放送のNHKが、日時にかかわらず戦争体験をドラマ化している。ウキペディア第二次世界大戦の犠牲者 – Wikipediaによると、第2次世界大戦の犠牲者は世界で、5000万~8000万、日本は2つの原爆を落とされ、日本では300万人もの死者を生み出した大事件はもう過去のものとなってしまったかのように見えるが、NHKは何故かこの報道をドラマという媒体を使い発信を続けているのである。
原爆を落としたことを正当化しているアメリカ人に見せてやりたいものだ。ちなみに新型コロナの死者数は、2021年4月9日現在、世界全体で289万人、日本では、9301人の方が亡くなっておられる。コロナの第4波も怖いものだ。政治による対策は大丈夫だろうか心配になる。政治という権力に一個人の力などはかないものではあるが、政治家を選んでいるのは私たちであることは忘れてはならない。
私は、NHKの朝ドラに敬意を示したいと思う。「おちょやん」では、逆境を喜劇で跳ね飛ばそうとしているドラマに私は感動してしまう。まるでシェイクスピアの喜劇を見ているようだと言えばほめ過ぎかもしれないのであるが、NHKの勇気ある行動に感謝したい。
4月8日放送の、千代の台詞を引用したい。イプセンの「人形の家」からとられたものである。戦争という状況の中で喜劇によって状況の打開を図ろうとする場面である。
それで、家も夫も子供も振り捨てようなんて
お前は世間の思惑というものを考えていない。
私はただしようと思うことは、是非しなくちゃならないと思っているばかりです。
言語道断だ。そんなふうにして、お前の義務を捨てることができるのか?
私には神聖な義務が他にあります。
どんな義務というのだ。
私自身に対する義務ですよ。
何より第1に、お前は妻であり母である。
何よりも第1に私は人間です。ちょうどあなたと同じ人間です。
少なくともこれからそうなろうとしている所です。
お前の言うことは子供のようだ。
お前は自分の住んでいる社会を理解していない。
ええ、分かっていません。これから一生懸命分かろうと思います。
社会と私とどちらが正しいのか、決めなければなりませんから。
4月8日、「おちょやん」から。
NHKという権力の固まりの国営放送の中で放たれた独白であるが、NHKはその存在理由を模索しているようにも受け止められると思う。
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