NHKの連続テレビ小説 第103作「おちょやん」は、2020年11月30日から始まり、いよいよ明日。2021年5月14日で最終回を迎える。15日はその週のまとめなのだが、全115回の放送となる。
コロナの影響で、前作の「エール」の放送が途中休止してしまったため、当初の予定より約2か月遅れのスタートとなった。
1週目、うちは、かわいそやない、(サブタイトル)、17.8%(週平均視聴率)
2週目、道頓堀、ええとこや~、18.2%
3週目、うちのやりたいことて、なんやろ、18.2%
4週目、どこにも行きとうない、18.0%
5週目、女優になります、17.5%
6週目、楽しい冒険つづけよう!、17.9%
7週目、好きになれてよかった、18.0%
8週目、あんたにうちの何がわかんねん!、17.6%
9週目、絶対笑わしたる、17.8%
10週目、役者辞めたらあかん!、17.4%
11週目、親は子の幸せを願うもんやろ?、17.6%
12週目、たった一人の弟なんや、17.4%
13週目、一人やあらへん、18.1%
14週目、兄弟喧嘩、16.9%
15週目、うちは幸せになんで、16.9%
16週目、お母ちゃんて読んでみ、16.8%
17週目、うちの守りたかった家庭劇、16.6%
18週目、うちの原典だす、16.5%
19週目、その名も、鶴亀新喜劇や、15.9%
20週目、なんでうちやあれへんの?、16.3%
21週目、竹井千代と申します、17.7%
22週目、うちの大切な家族だす、17.0%
23週目、今日もええ天気や、
全23週を振り返ってみると、それぞれの回でのことが思い出される。女優の浪花千栄子を題材にしており、戦前から戦後の大阪で貧しく生きた少女が女優の道を、けなげに目指す姿が描かれた喜劇である。
上に述べたように、視聴率の低さがマスコミのかっこうの餌食となってしまった。NHKの朝ドラと言えば、20%は超えるのが普通だったからだ。今までに1度も20%を越えていない。しかしながら、ドラマの完成度は極めて高い。脚本は、あの「半沢直樹」「下町ロケット」映画では「ラプラスの魔女」を書いた八津弘幸(やつ ひろゆき)である。八津自身は、栃木県の出身であるが、あの巧妙な台詞回しは、歯切れがよくテンポも素晴らしい。
恐らく大阪弁でしか表すことのできない台詞回しだったと思う。竹井千代は、杉咲花が演じたが、苦労の中にも明るさを決して忘れない演技は、光るものがある。この人の周りにはどんどん人が集まってくるのが分かる。視聴率がついてこなかった原因は、このセリフや、おちょやんの境遇に、ついてこれない人が多かったものと思われる。
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戦前、戦後の暗い日本を、喜劇で、しかも大阪弁で笑い飛ばそうと言う劇にはついてこれなかったのではないだろうか。つまり、そこまで、落ちぶれてないと錯覚した人は見ることはできなかったのだろうと思う。
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シェイクスピアの劇は、乞食から女王までみることのできる劇である。決して高尚な劇ではない。日本人はまだまだ本当の喜劇の素晴らしさを感じることができないのではないかとさえ感じてしまう。
明日の最終回が待ち遠しいと共に寂しい気持ちにもなってしまう。しかし、この喜劇の素晴らしさは忘れることはできないだろうと思う。どのような逆境の中にあっても、けなげに、水の流れのように笑いで跳ね飛ばすドラマはいつの時代でも生き残ることができる不変的なドラマとなろう。
浪花千栄子さんのことも大いに気になって来た。「オロナイン軟膏」のCMはうっすらと記憶している。浪花千栄子さんの本名が、「南口キクノ」。「軟膏効くの」と聞こえることから彼女が抜擢されたらしい。面白いエピソードですね。
明日の最終回は、視聴率20%越を、1ファンとして祈るばかりである。
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