宮崎県では、お酒と言えば焼酎のことを指す。日本でお酒と言えば清酒のことであるが、清酒と焼酎とでは全く異なる。
味が全く異なる。清酒の原料は、お米であるが、焼酎の原料は、麦、芋、お米と様々ある。
焼酎には、甲類と乙類がある。甲類は今はやりの味がして、そのままではとても飲めた代物ではない。普通は、炭酸などで薄めて飲む。
それに対して、乙類は昔ながらの単式蒸留法である。お米の焼酎は熊本が有名と思う。清酒に味が似ているのでとても飲めたものではない。
麦焼酎はくせがないので飲みやすいと思うが、宮崎では芋焼酎が有名である。くせがあり、独特なにおいがするので、嫌う人も多いのだが、宮崎では芋焼酎が主流である。多分、鹿児島も同じだと思う。芋はジャガイモではない。さつまいもである。さつまいものことを「からいも」と九州南部では呼ぶ。
アルコールの度数は、20度、25度が良く飲まれているが、普通は20度を飲む。どちらも生では飲めないので、薄め方によって濃度を調整すればよいことだが、地元とでは20度が鉄板である。ウイスキーに近い40度位の焼酎もある。これはなかなか手に入らない高級な焼酎の部類に入るのだが、私は、20度が一番飲みやすいと思う。
飲み方は、アルコール6に対して、お湯4、あるいは、半々、また、アルコール4に対してお湯6など人の好みで調整すればよい。しかし、私の亡くなった祖父は、薄めることなく、生で飲んでいた。日曜日は朝から飲んでいたと聞いた。
県南に都城という町があるが、ここではこだわりの飲み方がある。まず、コップにお湯を入れて、それから焼酎を入れなければいけない。焼酎を入れて、お湯を入れても同じではないかと思われるのであるが、どうやら違うらしい。後から焼酎を足すと味が滑らかになると聞いたが、私にはそのことはよくわからなかった。こだわりのある人も多いので、焼酎の飲み方も事前に聞いておかないで、順序を間違うと、お説教が始まるので気を付けなければならない。
基本的には、夏でもお湯で薄める。最近はロックで飲む人も多いのであるが、お湯で薄めるのが昔からの飲み方である。夏などは、普通は冷たいビールを飲んで、次にお湯割りの焼酎を飲むのがパターンである。
焼酎の飲み方にも人それぞれでいいと思うのだが、こだわりを持った先輩に焼酎を注ぐ時には気を遣うものである。
最近、私は焼酎をお湯割りで飲むことはほとんどなくなった。酎ハイで十分になってきた。酎ハイでは物足りない時には、お湯割りで飲むのだが、これもお酒に弱くなってきたのが原因だと思う。
若い人も、レモンなどを入れた酎ハイなら、焼酎の方が、清酒よりも飲みやすいと言う人が増えてきて焼酎の需要も以前よりも増えているのではないかと思う。
宮崎県の歌人、若山牧水は、お酒と旅を愛した歌人と知られているが、牧水は一体清酒を飲んでいたのか、焼酎を飲んでいたのか気になった時期があった。調べてみると、牧水は清酒を飲んでいたことが分かった。多分、関東では、焼酎は手に入らなかったからだと思う。
私が、東京にいた、30年位前は、酒屋では甲類の焼酎しか売っておらず、乙類の焼酎は、手に入ったとしても値段が非常に高かったと思う。
今では、都会でも、宮崎の乙類の芋焼酎が並んでいる。どこに行っても宮崎の芋焼酎が飲めるようになったのはそれだけ認知度が上がり、生産体制も整えたのであろう。
宮崎でおすすめの焼酎
霧島酒造が出している「霧島」が一番宮崎では有名である。もともとは1種類しかなかったが、「白霧島」に加えて、高級感のある「黒霧島」も発売されている。さらに「赤霧島」など高級志向の焼酎も出てきた。
値段は、「白」も「黒」も変わらないが、昔からある「白」も捨てがたい。実際はその味の違いはよく分からないのであるが。
それから、祖父母の実家がえびのなので、えびのの焼酎「名月」もおいしい。私はこの2択で十分なのだが、もっと高級な焼酎も紹介しておきたい。
「森伊蔵」、「村尾」、「魔王」、「百年の孤独」
これらは焼酎の中の焼酎である。なかなか原価で買うことが難しい。1度でも機会があったら飲んでみてください。その完成度は、焼酎が安い庶民のお酒という概念を打ち消してくれると思う。
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