アルプスの麓に広がる「プロセッコの丘」。イタリアが誇るスパークリングワイン・プロセッコの故郷。

プロセッコの丘

プロセッコの丘は、イタリア北東部に位置するヴェネト州とフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州にまたがる丘陵地帯で、標高500m以上の地域に広がっています。この地域は、アルプス山脈の麓に位置するため、地中海性気候とアルプス山脈の影響を受けた気候が特徴的です。夏は暑く乾燥し、冬は寒く湿度が高いため、ブドウにとっては理想的な栽培環境といえます。

プロセッコの丘には、約15,000ヘクタールのブドウ畑が広がっており、その中でもグレラ種という品種から作られるプロセッコの生産が盛んです。この品種は、古くからこの地域で栽培されており、プロセッコワインの味わいに大きな影響を与えています。

プロセッコの丘には、急峻な斜面が多く、高低差も500m以上になる場所もあります。その中でも、最も傾斜がきつい場所は、72度もの急斜面で、ブドウ畑を見下ろすとまるで断崖絶壁のような景観が広がっています。このような急斜面は、農耕には不向きな土地であり、そのため、人間の手によって造られた美しい景観となっています。

また、プロセッコの丘には、古くからブドウ栽培に携わってきた人々の知恵と技術が集約された「ciglioni(チリョーニ)」と呼ばれる石積みの段々畑があります。これらの畑は、坂の急斜面に石を積んで作られたもので、水はけを良くし、土壌を保護するために使われています。このような技術が用いられた畑は、美しい景観を生み出すだけでなく、土地の持続的な利用にも貢献しています。

プロセッコの丘は、2019年にイタリアのヴェネト州とフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州にまたがる「プロセッコ・ディ・コーネリアーノ・グエルツィ・ディ・コンテ(Conegliano Valdobbiadene Prosecco Superiore)の丘陵地帯」として、ユネスコの世界遺産に登録されました。

この地域は、ブドウ栽培やワイン生産における長い伝統や文化、人間の努力によって造られた美しい景観が高く評価され、登録されたものです。また、プロセッコの丘のブドウ畑やワインは、イタリアを代表する観光名所の一つでもあり、多くの人々に愛されています。世界遺産として登録されたことにより、この地域の保護や観光振興が促進されることが期待されています。

プロセッコの丘

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竹 慎一郎

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