親孝行の8割は、3歳までに終えてしまうとはうまく言ったものだ。
3歳の彼を保育園に預け、仕事の帰りに迎えに行かねばならない時があった。
私の姿を見つけた彼は、パタパタと私の方に一直線に向かってくる。
もう、預けるのは止そうと思ったほどだ。
12歳の彼はVOLTEX というドッジボールのチームに入り、全国大会に出場した。
しかし、補欠なのだ。入ったのが遅かったせいもあるが、後輩からレギュラーの座を取られ
補欠に甘んじた。
親からしてみれば、一生懸命、試合を応援する姿など見たくはない。
試合にも少ししか出してもらえない。
それでも彼は、楽しんでいた。腐ることはなかった。
みんなといられるだけで楽しい、と言った彼の性格は私とは違っていたのだろうか。
15歳の彼は、成績もトップ。硬式テニス部のキャプテンとなった。
彼を中心にチームは動いていた。もちろんレギュラー出場である。
県大会優勝。九州大会では入賞はできなかったが、悔いのない内容だった。
いつの間にか、父親の身長を追い越し、たくましい男性へと変わろうと
している。高校はエスカレーター式だが、特待生に選ばれてもおかしくない
くらいにまで、模範生のイケメン男子となった。
今日は英語を教えていたが、途中で友達がやってきて、
何の詫びもなく、外に出かけて行った。一言くらい父に
何か言えよ、と思ったが、何も言うこともできずに、
ただ大きくなったわが子の後ろ姿を見送った。
彼の人生、これからどうなるか楽しみではあるが
親の手からもう離れようとしているのを感じる。
私も、人生の第2のスタートを切ろうとしている。
将来のお金のことなど心配は絶えないが、
なんくるないさ。どうにかなるだろう。
天国言葉を吐けるようになれるかわからないが、
ついてないけどついていると思い、生きていきたい。
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