大人のためのピアノ入門 第2回
🎵 はじめに:楽譜との「再会」にドキドキ
小学校以来の楽譜との再会。「ドレミファソラシド」を思い出すだけで、なんだかお腹がキュッとなりませんか?私も大人になってからピアノを始めた一人ですが、最初は五線譜を見ただけで目が泳ぎそうでした。でも大丈夫!今回は、ピアニストの本田聖嗣さんと一緒に、大人の視点で楽譜を「攻略」していきましょう。
💡 衝撃の事実:楽譜は「親切」に書かれている
「楽譜って、音符を追いかけるものでしょ?」 というあなたに、本田さんは優しく首を振ります。
「実は楽譜には、作曲家が最も伝えたいことから順番に書かれているんです。まるで”料理のレシピ”のように。」
以下の順番で、音楽の「設計図」が示されています:
- テンポや曲調
- Allegro(アレグロ)=速く、生き生きと
- Andante(アンダンテ)=ゆっくり歩くように
- Moderato(モデラート)=適度な速さで
- 拍子記号
- 4分の4拍子=1小節に4つの4分音符
- 4分の3拍子=ワルツのようなリズム
- 8分の6拍子=揺れるような心地よいリズム
- 調性
- ハ長調=シャープやフラットがない、初心者に優しい調
- イ短調=少し物悲しい雰囲気を持つ調
- ト長調=明るく開放的な印象の調
- 強弱記号
- f(フォルテ)=強く
- p(ピアノ)=弱く
- mf(メゾフォルテ)=やや強く
🎹 実践編:ジムノペディで楽譜読解にチャレンジ!
サティの「ジムノペディ第1番」を例に、実際に楽譜を読んでみましょう。
「まずは全体を見渡してください。」と本田さん。 「この曲の特徴は、左手の伴奏が同じパターンを繰り返すことです。」
左手のパターンを見てみましょう:
低い音:ミ → レ → ミ
中音部:シ → ラ → シ
このパターンが、まるで小舟が揺れるように繰り返されます。
右手のメロディは:
ミ → レ → ド → シ → ラ
という下降形が特徴的。まるで雨粒が静かに落ちていくような印象です。
😊 大人の特権:パターン認識力を活かそう
子供の頃と違って、大人には「パターンを見抜く力」があります:
- フレーズの認識
- 同じメロディの繰り返しを見つける
- 変奏部分(少し形が変わった部分)を特定
- 曲の区切りを把握
- 和音進行の把握
- 基本的な和音の組み合わせを理解
- コード進行のパターンを覚える
- 左手の伴奏形の規則性を見出す
- 曲の構造分析
- ABAなどの曲の形式を理解
- クライマックスの位置を特定
- 繰り返し記号の活用
これらの力は、実は普段の仕事でも使っている能力なんです!
🎵 具体例:ショパン「革命」のアプローチ
本田さんが推奨する学習ステップ:
1. 全体構造の把握
- 導入部、展開部、終結部に分ける
- 左手の荒々しい16分音符の動きに注目
- 右手の劇的なメロディラインを確認
2. 部分練習のポイント
- 左手の16分音符は、まず4分音符で練習
- 右手のオクターブは、まず単音で練習
- テンポは最初は4分の1程度から
3. 効率的な練習方法
- 4小節ずつのブロック練習
- 左右別々に完璧になるまで繰り返す
- 少しずつテンポを上げていく
😅 よくある「初心者あるある」と対策
- 「音符を1つ1つ追いかけ回す症候群」
- 症状:楽譜を目で追いかけすぎて、指が止まってしまう
- 対策:4小節単位で区切って練習する
- 効果:音楽の流れを把握しやすくなる
- 「左手が右手に付いていけない病」
- 症状:左手の伴奏が不安定で曲が進まない
- 対策:左手だけを集中して練習する時間を作る
- 効果:安定したリズム感が身につく
- 「記号を無視して突っ走る現象」
- 症状:強弱記号やスラーを見落として演奏が単調に
- 対策:記号に蛍光ペンでマーキング
- 効果:表現力豊かな演奏が可能に
🌟 実践的なアドバイス:サティ「ジムノペディ」の練習法
1日目:
- 左手の伴奏パターンを覚える(20分)
- 右手のメロディを歌いながら弾く(15分)
- 強弱記号をチェック(5分)
2日目:
- 左手を少し速くする(15分)
- 右手の表現力を磨く(15分)
- 両手合わせを少しずつ(10分)
3日目以降:
- 両手合わせの完成度を上げる
- テンポをゆっくり安定させる
- 音色の違いを意識する
📝 楽譜との上手な付き合い方
- マーキングを活用する
- 重要な記号に色を付ける
- 繰り返しパターンを見つけてマーク
- 難所には付箋を貼る
- 練習計画を立てる
- 1週間の目標を設定
- 毎日の練習ポイントを決める
- 達成感を味わう
- 録音して聴き直す
- 客観的な耳で確認
- 改善点を見つける
- 進歩を実感する
😊 おわりに:大人だからこそできる楽譜との付き合い方
本田さんの言葉が印象的でした。 「楽譜は作曲家からのラブレター。一つ一つのメッセージを受け取る喜びを大切にしてください。」
今日からできること:
- 楽譜を「読む」前に「眺める」時間を作る
- 気になる記号はすぐにスマホで調べる
- 難しい部分は印をつけて講師に質問する
次回予告:
第3回は「実践編:基本の運指とリズム取り」 あなたの指が、少しずつピアノと仲良くなっていく様子をお届けします!
本田先生からの心に染みる一言: 「完璧を求めすぎないでください。音楽は感動を共有するもの。まずは楽しむことから始めましょう。」
さあ、明日からのピアノ練習が、少し楽しみになってきませんか? 楽譜との新しい出会いが、きっとあなたの音楽生活を豊かにしてくれるはずです。
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