この歌は、言わずもがな、山崎まさとしの名曲である。
菅野恵の歌声が心にささる。山崎まさとしの歌を聴いても感じなかった感情を抱く。
それは何だろう。
決して彼女は感情を込めずに淡々と歌っている訳ではない。
それなのにその感情の表現が普通のありふれたシンガーと異なっている。
何故だろう。
それは分かっている。
そうそれはあまり思い出したくない記憶。
遠い、遠い何十年も前のはかない思い出。
その彼女をこの歌を聴くと思い出してしまう。
もうあの時のような苦しみは味わいたくないのだ。
でもこの歌は私を優しく包んでくれるかのように思う。
いつでも捜しているよ
どっかに君の姿を(one more time, one more chance)
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あの時の私は本当に彼女の姿を捜していた。
どこにも見当たらないことは確かなのに。
菅野恵の高校生のような顔から出てくる、優しい歌声はあの時の私を、あの時に連れて行く。
もうこのような感情を持つには年をとりすぎた。
しかし、あっという間に、20代の私の記憶がよみがえってしまう。
そう、あの時の彼女に雰囲気が似ているからだろう。
マイクで口元は映さないスタイルは今までのYOUTUBEにはありえなかった。
新しいスタイルのカバー曲の先駆者と言っても過言ではないだろう。
まだ私はあの時の彼女を心のどこかで捜しているのかもしれない。
元気でやっているだろうか?
死ぬ前にもう1度だけ会えないだろうか?
もう一度だけ微笑みかけて話しかけてはくれないだろうか?
死ぬ前に。もう1度だけでいい。もう1度そのchance は訪れてはくれないだろうか?
山崎まさよしのカバーは、菅野恵に勝るシンガーは恐らく見当たらないだろう。
もう1度だけでいい。
もう無理な話ではあるが。
菅野恵の歌声をもし聴かなければ、そのような感情が具現化することはなかっただろうと思う。
ここまで書いて数日が経過してふと思った。
「久しぶり、元気にしてた?何て私が言うとでも思っているの?」
多分、悲しいかな、彼女はそう言うのかもしれない。
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