共通テストが昨年度から始めて行われたが、従来のセンター試験とはかなり変わっていたことはご存じだと思う。
まず、試験時間。
国語、80分、200点
地歴、1科目、60分、100点
数学① 70分、100点。
数学⓶ 60分、100点。
理科⓶、1科目、60点、100点
英語、リーディング80分、100点
リスニング30分、100点
試験時間と得点の配分が不自然だと誰が見ても分かる。
なぜ、数学①は、70分と10分伸ばしたのだろうか?
英語のリーディングは、国語と試験時間は80分と同じであるが、配点は国語、200点、リーディングは何と、100点。
リスニングに至っては、30分の試験なのに100点となっている。
試験時間と得点は同じに調整するのがプロの仕事である。
摩訶不思議なこの共通テストは一体誰の意見が尊重されているのだろうか。
受験の素人の大学の先生ではないかと思うが、この配分は従来行われてきたテストの常識をすっかり変えてしまった。
小学生から何らかの形で受ける試験は、試験時間と点数の配分は同じであったはずだ。
もちろん、大学によって得点の比率は変わるのであるが、これが次年度も踏襲されるのであろうか?
一番のいびつは英語であろう。英語を重視している結果がこのようになったと思われるが、あまりにおかしすぎるのではないだろうか。国語の80分は200点。英語のリスニングの80分は100点。誰がどう考えてもおかしい。よく言われることではあるが、国語もできないのに英語ができるはずはないと、小学校での英語導入においてよく議論の対象となるのだが、国語も英語も大切に同じように考えて貰いたいものだと思う。
英語に関しては、試験の傾向が大きく変わった。まず、語彙、発音、文法の問題が全くなくなった。全て長文となった。昨年よりもかなり平均点は下がると当初は予想されたが、リーディングは、58.8点。リスニングは56.16点。国語が117.51点なので、6割弱と違いはないかに見えるのであるが、標準偏差を見ると、国語は、33.10、数IAは、20.52、英語は41.24、となっている。つまり英語は出来る人と不得意な受験生の幅が1番大きいと言える。TOEICやTOFLEのようだとも言われるのであるが、この2つの試験においても語彙や文法問題は前半に必ずあるのであるのは周知のとおりである。
共通テストから、語彙や文法問題をなくしてしまったら、英語が不得意な受験生はもう点数を取る所がなくなってしまうということになる。この共通テストで日本人の英語嫌いはますます加速していくことであろうと思う。
それから英語が得意な受験生の点数は、一見すると取れているかのように見える。しかし、その英語の読みは邪道だと感じる。大体、アバウトに全体像をつかむ読みは英語の専門家としては通用しない。しかし、2次で明らかにされるのではないかという意見もあるが、理系の場合は2次で英語がない大学も多い。将来の理系の研究者は英語で論文を書くことになると思う。英語の読みは、その過程において変えていけば良いことは事実であるが、共通の読みだけが全てではないことは疑いないことである。
共通テストにも、語彙、文法、そして精読しなければ分からないような問題を取り入れるべきだと私は考える。
4月9日、大学入学試験を実施する独立行政法人「大学入試センター」が今年度以降、赤字になり、2024年度で約13億円の赤字が出ると試算しているニュースが流れている。今年の共通テストの志願者は約54万人、3年前から1割減少していると報じられている。50万以上のお客さんがいるのに赤字経営をしているこの法人の責任者は全員更迭して、新しい役員を迎えるべきだと思う。安易に受験料を上げて済む問題ではない。
根幹からして、摩訶不思議な法人だと言えないであろうか?
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